この潮流の震源地を辿ると、コペンハーゲンで起きた料理界の革命に行き着く。名店「ノーマ(noma)」のカリスマシェフであるルネ・レゼピと、共同創業者である起業家クラウス・マイヤーが提唱した「ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(新北欧料理)」のマニフェストだ。地域固有の原材料、伝統的な保存食文化、そして旬の徹底的な追求。この哲学は、レストランの皿の上だけにとどまらず、毎朝の主食であるベーカリーの現場へと直接流れ込んだ。
クラウス・マイヤーが手掛けた「マイヤーズ・ベーカリー」をはじめとする現地の名店は、品種改良される前の古代小麦やオーガニックライ麦、そして野生酵母の復権を推進。北欧料理のDNAを宿したパン作りは、ヨーロッパ全土を震撼させた後、ついに極東の日本へと本格上陸を果たした。素材の味を極限まで引き出すミニマリズムは、奇しくも日本の職人文化と深く共鳴したのだ。