脳の物理的な活動だけでは説明がつかない現象もある。例えば、手術室の天井から自分の肉体や医師たちの動揺した会話を見下ろしていたという「体外離脱」の報告だ。こうした事例に対し、一部の物理学者や神経科学者は、量子力学の観点からアプローチを試みている。
「微小管(マイクロチューブル)」と呼ばれる脳細胞内の構造が、量子情報を処理しているという説がある。この理論によれば、心臓が止まると脳内の量子情報は宇宙空間へと拡散するが、蘇生すると再び脳に戻ってくるという。SFのように聞こえるかもしれない。しかし、物質としての脳が滅びても、情報としての意識は存続するのではないかという仮説は、現代物理学の境界線上で真剣に議論されている。