『笑ゥせぇるすまん』の実写化は過去に2度行われている。1993年にはTBS系で単発ドラマとして、1999年にはテレビ朝日系で連続ドラマ『笑ゥせぇるすまん』が放送された。それぞれ喪黒福造を演じたのは伊東四朗(1993年版)と石橋蓮司(1999年版)だ。
1993年版はバラエティ番組『ギミア・ぶれいく』内の1コーナーとして制作された。伊東四朗が演じる喪黒福造は、原作に忠実な黒スーツと大きな口元のメイクで登場し、当時の視聴者に強烈なインパクトを残した。特に「ドーン」の決め台詞を実写で再現したシーンは語り草になっている。一方、コメディ色が強くなりすぎたきらいもあり、原作の持つ不気味な毒気は抑えられた。
1999年版は連続ドラマとして放送。石橋蓮司の演じる喪黒は怪優らしい不穏な空気をまとっていたが、放送時間帯が深夜ではなかったこともあり、表現に制約があった。原作の結末は「依頼者=犠牲者が破滅する」という救いのない話が多いが、テレビ版では曖昧な終わり方に改変されることが多かった。
2026年の視点で見えてくるのは、地上波テレビという枠組み自体が『笑ゥせぇるすまん』の本質と相性が悪かったという事実だ。原作が描く「人間の業」や「破滅の美学」は、CMやスポンサー、BPOの視線を気にせざるを得ない地上波では表現しきれない。配信オリジナルなら、視聴年齢制限を設け、演出の自由度を高められる。この条件的変化が、実写化待望論の追い風になっている。