松田氏の先見の明は、皮肉な形で証明されることとなった。米国本家のTully's Coffee Corporationはその後、過酷な競争と経営難に耐えきれず2012年に連邦倒産法第11条を申請。米国内の店舗は事実上の消滅へと追い込まれていった。
一方の日本法人は、すでに資本的にも商標的にも完全な独立を果たしていたため、本家の倒産による影響を一切受けなかった。それどころか、日本の顧客ニーズに合わせたフードメニューの強化や、落ち着いて過ごせる空間設計、ホスピタリティあふれる接客によって、独自のプレミアム路線を築き上げていた。ライセンス契約に安住せず、自らの力でブランドの主権を握った経営判断の差が、日米の明暗を分けたのである。