リンゴ1個を角切りにするのに、従来の「くし形切りにしてから1本ずつ皮をむき、横にして刻む」という手法をとっていないだろうか。この古いアプローチこそが、まな板の上でリンゴが滑り、指先を危険にさらし、作業時間を長引かせる最大の原因だ。
「伝説の家政婦」として知られる料理人のタサン志麻さんをはじめ、現場主義の料理人たちが推奨する最短ルートは「グリッド・スライス法」だ。まずリンゴの上下を薄く切り落として座りを安定させ、皮を上から下へ帯状に剥く。次に芯の周囲4方向から大胆に直方体状に果肉を切り落とし、残った芯を捨てる。まな板に密着した安定感のある直方体をスライスし、棒状に束ねて端からリズミカルに刃を落としていくだけで、寸分の狂いもないダイスカットが一瞬で完了する。
動画レシピプラットフォームのクラシル(kurashiru)でも、この平面を活用したカット法は「手元のブレが消える」「圧倒的に早い」と大きな反響を呼んでいる。小回りの利くペティナイフ(調理器具)を用いれば、果肉を潰さず細胞壁を鮮やかに断ち切ることができる。