小型犬偏重が続いてきた日本のペット事情に、明らかな地殻変動が起きている。かつてリビングの片隅で愛玩されていたトイ種から、人間と共にフィールドへ飛び出し、対等なパートナーとして難度の高いコマンドをこなす「作業犬(ワーキングドッグ)」への関心シフトだ。その頂点に君臨するのが、通称「オゥシー」と呼ばれるオーストラリアン・シェパードである。
並外れた学習速度。アイコンタクト一つで人間の意図を先回りする洞察力。見る者を圧倒する優雅なマーブル模様の被毛と、澄んだブルーやアンバーの瞳。SNSのショート動画でトリックを軽々と決める姿が拡散されるたび、憧れを抱く層は雪だるま式に膨らんだ。だが、その並外れた知能は諸刃の剣でもある。頭脳を使わせない退屈な日常は、この犬種にとって一種の拷問に等しい。エネルギーの発散場所を見失ったオゥシーが家具を解体し、動くものすべてに噛みつき、一日中吠え立てるモンスターへと変貌する事例が、ドッグトレーナーたちの間で深刻に囁かれ始めている。