「私には、父親はいない」。百恵は自叙伝『蒼い時』の中で、実父に対する冷徹なまでの決別を宣言している。彼女は、血のつながりがあるだけの男にこれ以上振り回されないため、法的な手段に出た。当時としては異例の、巨額の解決金を支払うことで、実父との関係を完全に断ち切ったのだ。
その額は数千万円とも言われ、現在の価値に換算すれば億単位に匹敵する。弱冠十代の少女が、自ら稼いだ金で「父親を買い取る」かのようにして自由を手に入れた瞬間だった。この壮絶な決断こそが、彼女の強さと、内に秘めた覚悟の象徴と言えるだろう。