インターネット上の検索エンジンで関連語を調べると、ひときわ批判と賛否両論が渦巻くのがピースボート世界一周評判です。「街頭ポスターが怪しい」「特定の政治思想を押し付けられるのではないか」「船内が宗教団体のようになっている」といった極端な噂が長年にわたり囁かれてきました。しかし、現地取材や近年の乗船データを検証すると、ネット上のステレオタイプと現場の実態の間には顕著なズレが存在します。
確かに、ピースボートは1980年代に政治的な平和運動を契機として始まった背景があり、洋上での講演会や自主企画ワークショップには国際情勢や社会問題をテーマにしたものが含まれます。しかし、現在では総トン数7万7000トン級の大型客船「パシフィック・ワールド」をチャーターし、一般的な世界一周ツアーとして広く旅行代理店でも流通しています。参加者の7割以上は単に「費用を極力抑えて世界を旅行したい年金退職シニア」や「休学・転職の合間に世界を見たい若者」であり、思想信条を強制されるような場面はまずありません。関心のないイベントには一切参加せず、プールサイドで読書に耽る乗客が大半を占めています。
むしろ注意すべき実質的な盲点は、政治性ではなく「設備の割り切りとサービス基準の差」にあります。豪華客船のような「バトラー(執事)が至れり尽くせり世話をしてくれる」贅沢を期待して乗船すると、食事のセルフサービス形式や船内イベントの自主運営ノリに大きなカルチャーショックを受けることになります。ピースボートは「動くラグジュアリーホテル」ではなく「洋上の長期滞在型ユースホステル兼カルチャーセンター」と捉えるのが、心理的ギャップを埋める正確な認識です。