スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫が仕掛けた「一切の情報遮断」というマーケティングは、過剰な情報に溢れる現代社会に対するアンチテーゼとなった。配給を担当した東宝もこの決定を全面的に支持し、あらかじめストーリーやキャストを明かさないまま封切りを迎えるという歴史的賭けに出た。
この試みは観客の好奇心を極限まで刺激した。映画館に足を運んだ人々は、予備知識ゼロの状態でスクリーンに対峙し、純粋な視覚体験として作品を受け止めることとなった。情報があらかじめ消費される時代において、映画を「未知の体験」として観客に返す試みは大成功を収めたと言える。