皮肉なことに、メディアカルチャーの世界では「おひとりさまの食事」が一種の洗練された美学として消費されてきた。象徴的な例が、長年にわたり圧倒的な支持を集めるドラマ『孤独のグルメ』だ。誰にも邪魔されず、気ままに美味を探求する主人公の姿は、多くの現代人に自由と解放感を与えた。Netflixなどのグローバル配信プラットフォームを通じてこの潮流は世界へ波及し、自立した大人の愉悦として定着した側面はある。
しかし、エンターテインメントとしての「贅沢なソロ外食」と、社会的文脈における「不本意な孤食」との間には深淵が横たわっている。NHKの特集番組などが繰り返し指摘するように、自由な選択としての一人飯の裏側で、貧困や人間関係の断絶によって孤食を余儀なくされている層の社会的孤立・孤独問題は深刻度を増すばかりだ。楽しむためのソロ活と、孤立無援の食卓。この2つの現象を同列に語ることは、後者の苦痛を見過ごす危険を孕んでいる。