山麓を這う風が草木を揺らす。葛城修験の聖地として知られる寺社や山道周辺では、千年以上続く静謐な祈りの時間が今もそのまま流れている。だが、その参道から一歩路地に入ると、築100年を超える古民家を改修した最先端のコワーキングスペースが目に入る。
「Wi-Fiの速度と、窓から見える山並みのギャップが素晴らしい」と語るのは、フランスから訪れ数ヶ月滞在しているというプロダクトデザイナーの男性だ。ノートPCを開きながら地元の吉野杉で作られたデスクに向かう彼の横では、地元の農家が採れたての野菜を差し入れに訪れていた。聖地としての神聖さを残しながらも、多様な価値観を柔軟に受け入れる包容力こそが、この地域の底力だ。