静寂を愛する旅行者の足は、特定の地域へ集中し始めている。代表格が瀬戸内海沿岸の島々だ。波が穏やかで人工の明かりが少ない瀬戸内では、空の青が海面にそのまま映り込み、上下の境界線が消失する「二重の青」を体験できる。
「騒ぐ人は一人もいません。みんなただ黙って、空の色が毎秒変化していく様子を凝視しています」
香川県・豊島でゲストハウスを営む女性はそう語る。かつての観光といえば、賑やかな名所巡りやグルメ探訪が主流だった。しかし2026年のトレンドは真逆だ。「何もない時間」と「移ろいゆく光」だけを消費する。旅の目的そのものが、自己との対話やマインドフルネスへと急激にシフトしている。