こうした個人化の背景には、かつて社会学者マックス・ウェーバーが提示した「世界の脱魔術化」のさらなる深化と反動がある。ウェーバーは、合理主義の進展が神秘的なものを排除し、世俗化を進めると分析した。しかし現代社会は、過度な合理主義がもたらす脱力感と孤立に対する強力な揺り戻しに直面している。
宗教学や宗教社会学の研究者たちは、現代人が経済的合理性だけでは生み出せない「意味」を猛烈に再探求していると指摘する。市場経済がすべてを数値化する時代だからこそ、数値化できない聖なるものへの渇望が、かえって先鋭化しているのだ。それは古い伝統への単純な回帰ではなく、超高度化された情報社会における切実な生存戦略とも言える。