座面にお尻を乗せ、両足を穴に通して座る「足入れ浮き輪(パンツ型浮き輪・ベビーボート)」は、体が水中に落ちない安心感から長年親しまれてきました。しかし、消防庁や消費者庁の事故調査部会では、足入れ型特有の構造的欠陥による溺水事故が毎年繰り返し報告されています。
事故の主原因は「重心位置の高さ」と「自力復帰の物理的不可能性」にあります。子どもが浮き輪の上で身を乗り出したり、波や他人の接触で傾いたりすると、頭の重みで一瞬にして上下反転します。このとき、足入れ部分は狭い穴に脚が拘束されているため、子ども自身の力では足を抜くことができません。結果として、「頭部が完全に水没し、両足が水面上に突き出た逆立ち状態」のまま固定されてしまうのです。
SNSや育児コミュニティのリアルな手記でも、その恐怖が赤裸々に語られています。
「波のプールでほんの一瞬、目を離した隙にひっくり返った。子どもは暴れることすらできず、声も出せないまま水中にいた。横にいた大人がすぐ抱き上げなければ間違いなく手遅れだった」(30代母親の投稿)
足入れ浮き輪を使用する場合は、「保護者が絶対に手を離さず、水深が親の膝以下の浅瀬でのみ使う」という鉄の掟を守らなければなりません。