香港と英国の歴史を振り返れば、両者の関係は常に「経済的利害」と「民主的価値観」の綱引きだった。現在進行形で繰り広げられている外交動向の核心は、イギリスが抱えるジレンマにある。自国の経済再生に向けて中国市場との一定の対話を維持したい思惑と、移住してきた香港市民を保護し中英共同宣言の精神を守り抜くという人権外交の建前が、激しく衝突しているのだ。
水面下の外交チャンネルでは、香港当局による国外居住者への指名手配や資産凍結をめぐり、激しい情報戦と法廷闘争が繰り広げられている。BNOビザ制度を利用して渡英したコミュニティに対するロンドン側の保護策がどこまで実効性を持つのか。経済的リアリズムと価値観外交の狭間で、イギリスの対中・対香港戦略はかつてない試練の局面を迎えている。