『源氏物語』の最終章を飾る「源氏物語宇治十帖」は、まさにこの地が舞台だ。光源氏の没後、薫と匂宮という二人の公子、そして儚い運命に翻弄される浮舟たちの愛憎劇が描かれた。宇治川の激しい川波と深山幽谷の静寂は、登場人物たちの不安定な心理描写と完璧に同期している。
橋の西詰には紫式部像が佇み、手には和歌をしたためた巻物を携えている。ここを出発点として、川沿いに広がる「宇治十帖モニュメント」やゆかりの古刹を巡るルートは、文学ファンにとって聖地巡礼の趣がある。静寂に包まれた散策路を歩けば、千年前のヒロインたちが流した涙の残り香すら感じられるはずだ。