珠世と無惨の直接対峙における会話劇は、本作屈指の名シーンとして語り継がれています。自らの腕を無惨の胸へ突き刺し、薬を注入した珠世に対し、無惨は傲慢にも問いかけます。
「何をしている 珠世 何の真似だ」「お前を人間に戻す薬を吸収させた」
かつて自分を弄び、家族を奪った元凶を前に、珠世は凛とした眼差しで言い放ちます。さらに、無惨が「何の役に立たん無駄な足掻きだ」と嘲笑すると、珠世は怒りと怨嗟に満ちた凄まじい形相で叫びました。
「私の夫と子どもを返せ!」「今ここで殺してやる!!」
400年間、胸の奥底に押し殺し続けてきた母親としての慟哭と怒りが爆発した瞬間でした。最期は無惨の冷酷な手によって頭部を握りつぶされ、凄惨な死亡シーンを迎えることとなりますが、珠世は死の間際まで無惨の目を真っ直ぐに見据え、一切の恐怖を見せませんでした。肉体は滅びようとも、彼女が遺した毒は無惨の肉体を確実に蝕み、鬼殺隊の勝利へと続く道を切り拓いたのです。