彼のキャリアを語る上で避けて通れないエピソードがある。明治の文豪・国木田独歩の玄孫(やしゃご)という血筋だ。モデルとしてキャリアをスタートさせ、舞台『黒蜥蜴』で美輪明宏に見出されて俳優デビューを果たした経歴は、一見すると華やかなシンデレラストーリーに思える。しかし、彼が歩んできた道のりは決して安易なものではなかった。
血筋や容姿のスマートさは時としてレッテルになり得る。だが、彼はそのプレッシャーを作品への真摯な向き合い方で徐々に払拭していった。文学作品への深い理解力、セリフの背後にある感情の機微を読み解く洞察力。それらは彼の中に脈々と流れる文化的な背景と、泥臭く舞台で鍛え上げた努力の賜物だろう。