映画界やメディアの間で二人の関係が囁かれた最大の要因は、公私を分かち合うあまりに濃密な距離感にあった。当時、千葉真一は女優の野際陽子と婚姻関係にあったが、撮影現場でもプロモーションの場でも、志穂美は常に千葉の傍らにいた。師弟であり、戦友であり、プロデューサーと看板女優という関係性。だが、外部の野次馬的な視線には、それが危険な男女の情愛に見えたのだ。
しかし、当時の関係者たちの証言は一貫している。二人の間に流れていたのは恋愛感情ではなく、絶対的な主従関係と「命を預け合う者同士の信頼」だった。志穂美にとって千葉は、芸能界の父であり、武道の師であり、生き方の指針そのもの。千葉にとっても志穂美は、自らのアクション哲学を体現する至高の愛弟子であり、汚してはならない誇り高き存在だったのだ。