しかし、風向きが変わったのはあの伝説的な謝罪会見からだった。多くの芸能人が弁護士や事務所が用意した定型文を読み上げる中、狩野は違った。記者からの矢継ぎ早の質問に対し、時に的外れで、時にあまりにも正直すぎる回答を連発したのだ。相手の父親から「野生のサクランボのようだ」と言われたエピソードを大真面目に語る姿に、世間は困惑し、そして毒気を抜かれた。
嘘をついて保身に走るのではなく、自分の愚かさを包み隠さず晒し出したこと。これが、結果的に視聴者の「許し」のハードルを下げた。計算されたパフォーマンスではない、彼の本質的な「憎めなさ」が、最悪の状況下で最大の防御壁となったのである。