渡辺プロダクションの黎明期を支え、日本の歌謡界を近代化させた立役者であるザ・ピーナッツ。彼女たちが1962年8月に発売した『ふりむかないで』は、当時の歌謡界に鮮烈な衝撃を与えました。
作曲を手掛けた宮川泰氏は、ジャズやアメリカンポップスの洗練されたコード進行を取り入れ、哀愁漂うラテンのリズムとキャッチーな旋律を融合させました。当時、専属作詞家として数多くのヒットを飛ばしていた岩谷時子氏は、女性の揺れ動く繊細な恋心を「ふりむかないで」というワンフレーズに集約させます。
歌詞に描かれているのは、好きな人の前で素直になれない恥じらいと、泣き顔を見られたくないという切実な女心です。「今のわたしを見つめないで」と懇願しながらも、心の奥底では相手への強い思慕を抱いているという多重構造の心理描写は、当時の若い女性層を中心に熱烈な共感を呼びました。