彼の代名詞となった『座頭市』は、時代劇の文法そのものを根底から覆した。盲目の居合斬りの達人・市が見せる超絶的な殺陣。刀の抜き差しから血飛沫の飛び散る音、足音や息遣いに至るまで、音響と映像のシンクロに狂気的なまでのこだわりを見せた。
自ら設立した勝プロダクションでは、自らメガホンを取り、既存の映画製作の常識を次々と破壊していった。フィルムを一瞬で何千フィートも回し、気に入らなければ全編撮り直しも辞さない。莫大な借金を背負いながらも「映画の神様」にすべてを捧げたその姿は、周囲を巻き込む台風そのものだった。