後藤田氏が残した言葉は、没後長い年月を経た現在でも、霞が関の官僚や組織のリーダー層にとっての戒めとして語り継がれています。とりわけ有名なのが、内閣官房副長官や官房長官時代に部下の官僚たちに叩き込んだとされる「後藤田五訓」です。
【指導者と官僚の鉄則:後藤田五訓】
- 第1条:省益を忘れ、国益を想え
- 第2条:悪い、本当の事実を報告せよ
- 第3条:勇気をもって意見具申せよ
- 第4条:自分の仕事と責任を他に推譲するな
- 第5条:決定が下ったら、従い、命令を実施せよ
特に「良いニュースは急ぐ必要はない。悪いニュースこそ1秒でも早く持ってこい」という危機管理の本質を突いた思想は、情報隠蔽が命取りとなる現代の企業経営・行政組織にもそのまま通底します。また、自著や回想録『情と理』『支える動かす』などに記された「政治家は歴史の法廷に立つ覚悟を持て」「官僚は国家の公僕であって政権の召使いではない」といった重厚な語録の数々は、ポピュリズムに傾斜しがちな現代政治に対する痛烈な警鐘となっています。