時計の針を巻き戻してみよう。この熱気の原点にあるのは、鬼才・六田登が「週刊少年サンデー」の誌上で連載した傑作少年漫画『ダッシュ勝平』である。主人公の坂本勝平は、身長1メートルにも満たない小柄な体躯でありながら、超人的な身体能力と白いパンティへの異常な情熱を武器にバスケットボール界を席巻した異色のダークホースだった。
六田登の卓越した筆致は、破天荒なギャグの奥底に、勝負に生きる人間の孤独や泥臭いエゴイズムを鮮やかに刻み込んでいた。坂本勝平という存在は、単なるお笑い要員ではない。自らに課された身体的ハンディキャップや周囲の偏見を、天性のひらめきと超人的な努力で粉砕していく、究極のアンチヒーローだったのだ。