くじら座タウ星が天文学において別格の扱いを受ける最大の理由は、その恒星としての性質が太陽と瓜二つである点にあります。恒星の分類を示すスペクトル型は「G8.5V」。太陽(G2V)よりもわずかに小ぶりで表面温度が低めですが、同じ黄色主系列星のグループに属しています。
質量は太陽の約0.78倍、光度は約52%と穏やかで、特筆すべきは恒星活動の安定性です。近隣の恒星の多くを占める赤色矮星(M型星)は、強力な巨大フレアを頻発させて周囲の惑星の大気を剥ぎ取ってしまう致命的な欠陥を抱えています。対照的に、くじら座タウ星は活動が非常に静穏で、推定年齢も約58億年と太陽(約46億年)より成熟しており、生命が誕生して進化を遂げるための十分な時間的猶予が存在してきた環境といえます。