1980年代後半、アイドル歌謡曲の歴史は光GENJIによって塗り替えられた。レコード大賞の獲得、連日のスタジアム満員、社会現象としての熱狂。だが、その狂騒の中心にいながら、彼の視線はすでに別の地平を見つめていた。
1994年、人気絶頂の中でジャニーズ事務所を脱退。世間には激震が走った。なぜ、誰もが羨む安泰なレールを自ら降りたのか。後に彼が語ったのは、表現者としての強烈な危機感だった。「敷かれたレールの上で歌い踊り続けることへの違和感」。自らの肉体と言葉で、もっと生々しい人間の感情を表現したい。その衝動が、彼を安定の檻から未知の荒野へと突き動かしたのだ。