臨床心理の現場からは、この広がる冷淡さに対して深刻な懸念が示されている。他者を無下に扱う態度は、短期的にはストレスを回避する有効な手段に見えるが、長期的には自身の共感能力そのものを萎縮させる「劇薬」だからだ。
人を突き放すことに慣れてしまった人間は、いざ自分が誰かの温もりや助けを必要としたときにも、その求め方が分からなくなる。「感情の筋肉」は使わなければ急速に衰える。他人の痛みに無関心であり続けることは、自らの孤立を強固な檻へと育て上げることに他ならない。都市部に広がる原因不明の孤独感や閉塞感の根底には、他者を安易に拒絶し続けたツケが確実に横たわっている。