スマートフォンや電子書籍が普及し、あらゆる情報が画面上のスクロールで消費される現代。この時代において、有山達也が創り出すグラフィックの価値は高まり続けている。
画面のピクセルデータは軽快で便利だが、触覚や匂い、厚みといった「物質的な記憶」を伴わない。有山の仕事は、紙の坪量、インクの発色、開いたときの束幅など、人間の五感すべてに訴えかける。
過剰な色彩と巨大な太字が溢れるデジタル空間の中で、有山が創り出す「静かな余白」は、現代人の疲弊した視覚にノイズのないオアシスを提供する。それは単なるレトロ趣味やアナログ賛美ではなく、情報の本質を伝えるための最も機能的な回答なのだ。