まず押さえておきたいのが、桜梅桃李の読み方です。正しくは「おうばいとうり」と読みます。漢字検定では準1級から1級レベルに位置づけられる教養語彙でありながら、日常会話やビジネスシーンの所信表明などでも幅広く親しまれています。
この四字熟語を構成するのは、いずれもバラ科に属し、春先に白や薄桃色の可憐な花を咲かせる4つの樹木です。しかし、それぞれを仔細に観察すると、開花の時期も、花弁の形状も、香りの強さも、実の結び方も全く異なります。
早春の冷気配が残る2月に先陣を切って芳香を放つ「梅」。続いて3月下旬から4月にかけ、劇的な満開と潔い散り際で人々を魅了する「桜」。梅と桜の間を縫うように、鮮やかな紅と丸みを帯びた花弁で枝を覆う「桃」。そして、やや遅れて清楚な純白の花を群生させ、のちに酸味豊かな果実を実らせる「李(すもも)」。
桜が梅の気品ある香りを羨む必要はなく、李が桜の華麗な散り際を模倣する必要もありません。それぞれが自らの根から吸い上げた養分を信じ、自らの季節に、自らだけの色と形で咲き切る。転じて、桜梅桃李の意味をわかりやすく解説するならば、「人間もまた、他人の才能や境遇を羨んで真似るのではなく、自分自身の天賦の個性と強みを磨き上げ、独自の人生を開花させるべきである」という教訓を示しています。