『Red』が提示したのは、単なる刺激的なラブストーリーではない。それは、成熟した大人の感情を正面から描き切る作品が少なくなった日本映画業界に対する、密かな問題提起でもあった。
海外の映画祭やフィルムコンペティションにおいても、人間のエゴや性を逃げずに描く作品は高く評価される傾向にある。自主規制や興行面での安全策が優先されがちな邦画シーンにおいて、リスクを恐れずに挑戦した本作の存在感は際立つ。安易なハッピーエンドを拒み、人間の業(ごう)をありのままに描いたアプローチは、映画表現の可能性を大きく広げたと評価されている。