本作の説得力を支えているのが、徹底した役作りで実在の医師を演じきったキャスト陣の熱演です。主人公・志田周子役を務めたのは平山あや。従来の明るいイメージを封印し、昭和初期の女性医師が背負った孤独、葛藤、そして患者に向ける慈愛に満ちた眼差しを繊細かつ力強く表現し、映画関係者からも絶賛を集めました。
周子の最大の理解者であり、娘を過酷な道へ引き戻してしまった罪悪感に苦悩する父・志田荘次郎役には、名優・榎木孝明が配されました。重厚かつ温かみのある演技で、親子の絆と地域のリーダーとしての威厳を見事に体現しています。
さらに、周子を支える母役の池田有希子、診療所に寄り添う村人や関係者として長谷川初範、佐藤藍子、山形出身のお笑いコンビテツandトモなど多彩な顔ぶれが集結。ナレーションは白石美帆が担当し、情感あふれる語りで物語を包み込みます。監督を務めた永江二朗の手腕と、山形出身の脚本家・あべ美佳による丁寧な人物描写が相まって、単なる感動物語を超えた骨太な人間ドラマに仕上がっています。