ネット上では「医者は不摂生で激務だから、一般人よりも圧倒的に短命である」という言説が頻繁に語られます。しかし、客観的な疫学統計を検証すると、単純な「短命説」は誤解であることが分かります。
統計が暴く「平均寿命」の二極化
日本医師会や公衆衛生関連の疫学調査によると、医師全体の平均寿命は一般人の平均(男性約81歳、女性約87歳)と同等か、むしろ数歳長い傾向すら確認されています。これは医師の社会経済的地位(SES)の高さ、病気の初期症状に気づいた際の高度医療へのアクセスの良さ、経済的な生活水準の安定が寄与しているためです。
しかし、この数字には致命的な盲点が存在します。それは、定年後に穏やかな生活を送る開業医や嘱託医のデータが数値を押し上げている一方で、過酷な救急・急性期医療を支える20代〜40代の勤務医層に健康リスクが集中しているという「健康格差の二極化」です。
心血管疾患・突然死・メンタル不調の突出リスク
疫学データでは、勤務医の死亡原因の内訳において、急性心筋梗塞や脳血管障害などの過労起因リスクが一般サラリーマンと比較して高いことが指摘されています。また、睡眠遮断や医療訴訟プレッシャーに晒されることによるバーンアウト(燃え尽き症候群)や自死の発生率は、他の専門職種と比較しても依然として深刻な課題として報告されています。