華々しいデビューを飾った野村将希でしたが、その後は歌謡界の急激な潮流変化のなかでヒット曲に恵まれない苦難の時期を経験します。しかし、彼は立ち止まることなく、己の肉体と精神を一から作り直す過酷なトレーニングへと身を投じました。
ベンチプレスなどで徹底的に鍛え上げられた鋼の肉体は業界内でも評判となり、1987年、彼の役者人生を大きく変える転機が訪れます。国民的人気時代劇『水戸黄門』(第17部)において、忍びの「柘植の飛猿(つげのとびざる)」役に大抜擢されたのです。従来の時代劇俳優にはなかったダイナミックなアクションと圧倒的な身体能力は番組に新風を吹き込み、足掛け13年半以上にわたってレギュラーを務める看板キャラクターへと成長しました。歌手としての甘いイメージを自ら打ち破り、肉体派俳優としての確固たる地位を築き上げたこの転身劇は、芸能史に残る鮮やかな挑戦として語り継がれています。