結論から明かすと、ヤマアラシが自分の意思で針を弓矢のように遠くへ飛ばすことは身体構造上あり得ません。ヤマアラシの皮膚や筋肉には、針を発射するための射出機構は備わっていないからです。
それにもかかわらず、「ヤマアラシ 針 飛ばす」という言説が広く定着した背景には、彼らが見せる激しい防衛行動が関係しています。外敵に襲撃されたヤマアラシは、体を丸めてトゲを逆立て、激しく体を震わせて威嚇音を響かせます。この激しい振動の衝撃で、すでに抜けかかっていた古い針が数メートル周囲へ飛び散る現象が起きるのです。
さらに、彼らは敵に向かって正面から突撃するのではなく、針が集中しているお尻を向けた状態で猛スピードの後退ダッシュを仕掛けます。飛び散る針と目にも留まらぬ突進のコンビネーションを目の当たりにした人間や捕食者が、「針を撃ち出された」と錯覚したことが、長年語り継がれる都市伝説の決定的な発端となりました。