「では、結局のところ旧字体と新字体のどちらが正しいのか」という疑問が湧くのは当然です。この問いに対する明確な答えは、「どの流派の思想に共感して採用するか」に集約されます。
姓名判断の歴史を紐解くと、大正から昭和初期にかけて熊崎健翁氏が体系化した「熊崎式姓名判断」が近代姓名判断の礎となっています。熊崎式をはじめとする伝統流派は、姓名を天格(祖先運)・人格(主運・性格)・地格(幼少期運・才能)・外格(対人運・環境)・総格(晩年運・総合運)の「五格」に分類し、康熙字典に基づいた厳密な画数で運勢を導き出します。数千年の統計と哲学を重視する立場からは、「戦後のわずか数十年で作られた簡略文字(新字体)では、文字本来の運命誘導力は測れない」と主張されます。
一方で、昭和後期以降に広まった「新字体派(現代派)」の流派は、「名前は社会の中で書かれ、呼ばれ、認識されることで力を発揮するもの。日常生活で使わない旧字体の画数を用いても意味がない」という現実的な立場を取ります。戸籍や学校、ビジネスで実際に書くときの画数こそが、本人の意識や周囲への影響を生み出すという論理です。
どちらの流派も独自の理論体系を構築しており、一方を偽物と断じることはできません。大切なのは、複数の流派を中途半端につまみ食いして混乱するのではなく、ひとつの流派を一貫して信頼することです。