事件の背景を解明する上で欠かせないのが司法精神医学のアプローチだ。公判前に行われた精神鑑定では、人格障害の傾向は認められつつも、完全な刑事責任能力を有していると判断された。物事の善悪を判断し、行動を制御する能力を持ちながら、あえて最悪の選択肢を実行に移した冷徹さ。
専門家が指摘するのは、極端な孤立状態がもたらす認知の歪みだ。誰にも頼れず、自尊感情を粉々に打ち砕かれた個人が、社会に対する最大の復讐として「無期限に社会の負担となって生きる」ことを選択する。報道ジャーナリズムが単なる「モンスター」として彼を切り捨てるだけでは見えてこない、現代特有の精神的孤立のメカニズムがそこにある。