神奈川県厚木市で3人姉妹の末っ子として育った小泉今日子の幼少期は、決して平穏なものではなかった。父親が経営していた会社が倒産し、一家は借金取りから逃れるように夜逃げ同然の生活を余儀なくされる。家財道具を質屋に入れ、家族がバラバラに引き裂かれる恐怖と隣り合わせの日々。その過酷な現実の防波堤となったのが、他ならぬ母親だった。
母親はスナックや飲食店を切り盛りしながら、がむしゃらに働き、生活を支えた。情に厚く、同時にどこか刹那的で大胆な性格。子どもたちに弱音を見せることは滅多になかったが、家庭内の空気は常に緊張感と隣り合わせだった。思春期の少女にとって、家は安らぎの場所ではなく、いつ崩壊してもおかしくない危うい舞台だったのだ。