多くの人が見落としがちな盲点、それが「栄養のある土を使ってしまう」というミスだ。花を早く咲かせたい、元気に育てたいという親心が、挿し木にとっては猛毒となる。
市販の培養土や庭の土には、堆肥や肥料分、そして無数の微生物が含まれている。発根していない状態の枝に肥料分が触れると、浸透圧の関係で逆に組織内の水分が奪われて干からびる。さらに、有機質をエサにしてカビ菌が一気に増殖し、穂木の地際を白く覆ってしまうのだ。
挿し木の土選びにおいて唯一無二の正解は、「完全な無肥料・無菌・排水性と保水性のバランス」である。この条件を最も高水準で満たすのが、粒の揃った鹿沼土(細粒〜小粒)や赤玉土、あるいはバーミキュライトだ。特に弱酸性を好む日本のハイドランジア系には、微酸性の鹿沼土が驚異的な適合性を見せる。土をケチって使い古しの土を再利用することこそ、失敗への最短ルートである。