皮肉にも、安倍氏の闘病は「潰瘍性大腸炎」をはじめとする指定難病への社会的認知を飛躍的に高める契機となった。かつてはタブー視されがちだった消化器系の疾患について、公の場で議論されることが増えた。これにより、同じ病に苦しむ多くの人々が救われた側面は否定できない。
政府が進める働き方改革や、病気を抱えながら働く人々への就労支援の文脈において、安倍氏の事例は常に参照される。病気があっても挑戦できる社会の実現に向け、制度的なサポートをどう拡充していくか。それは彼の政治的遺産(レガシー)の一部として、今も議論の俎上に載せられている。