千葉県で地震が相次ぐたびに囁かれるのが、「首都直下地震の前触れではないか」という懸念です。政府の地震調査研究推進本部によると、南関東においてマグニチュード7程度の首都直下地震が今後30年以内に発生する確率は70%程度と非常に高い水準にあります。
しかし、現在観測されている房総半島沖のスロースリップや散発的な地震活動が、直ちに想定される首都直下地震の直接的な前兆であると断定できる科学的根拠はありません。気象庁や地震専門機関も、「一連の活動が巨大地震の引き金であると特定することはできない」との見解を一貫して示しています。
ただし、相模トラフ沿いは過去に元禄関東地震(1703年)や大正関東地震(1923年)といったM8クラスの巨大地震を引き起こした震源域です。地殻内部に応力が溜まり続けている現実に変わりはなく、「前兆か否か」の議論にとらわれるよりも、いつ強い揺れが来ても命を守れる備えを維持することが実質的な命綱となります。