田原が手がけた番組が今も伝説として語り継がれる理由は、単に刺激的だったからではない。人間の「剥き出しの本性」を捉えていたからだ。
例えば、ヒッピー文化や若者の性、あるいは自衛隊の内部に切り込んだ番組では、単なる批判や賛美にとどまらない、被写体自身の「生々しい葛藤」が描かれた。田原は徹底的に相手の懐に入り込み、時には挑発し、時には共感しながら、カメラの前で絶対に嘘をつけない状況を作り出した。
この泥臭く、かつ冷徹な取材手法は、彼自身が戦中・戦後の混乱期を生き抜き、国家や大人の言う「正義」がいかに簡単に覆るかを目撃してきた体験に裏打ちされている。