1909年、二代目の鈴木三郎助によって「味の素」の事業化が果たされて以来、味の素株式会社は日本の食文化そのものを創出してきた自負があった。「美味良食」を掲げ、人々の栄養状態を改善するという創業理念は、日本国内にとどまらずグローバル市場へと波及。しかし、企業規模が肥大化するにつれ、創業者一族の精神は形骸化し、組織の硬直化が進んでいく。
高度経済成長を経て巨大組織へと変貌を遂げた同社だったが、肥大化した組織の歪みは、いつしか企業防衛という名目のもとで違法行為を受け入れる土壌を作ってしまった。創業者の志が高かったからこそ、後年発生したスキャンダルとの落差は大きく、伝統と信頼を一瞬にして失墜させる悲劇へと繋がったのである。