死亡当日に公表された初期の診断名は「肺水腫」でした。肺に水分が溜まり呼吸困難に陥る病態ですが、なぜ26歳の健康な青年が突如として重篤な肺水腫を発症したのか、世間には大きな疑念が広がりました。
真相が明らかになったのは、東京大学医学部法医学教室の支倉逸人教授(当時)による司法解剖結果でした。後に開示された死体検案書や鑑定書によって、体内から通常の致死量をはるかに超える覚醒剤(メタンフェタミン)が検出されていた事実が判明します。
覚醒剤中毒による肺水腫発症のメカニズム:
- 中枢神経への過剰刺激:大量の覚醒剤摂取により交感神経が暴走し、極度の血圧上昇と心不全を引き起こす
- 毛細血管の透過性亢進:急激な心負荷と肺血管の破綻により、血液成分が肺胞内に漏れ出して満水状態となる
- 呼吸機能の停止:肺全体が水浸しになることでガス交換が不能となり、重度の急性低酸素脳症から心停止に至る
体表面に見られた多数の擦過傷や打撲痕は、過剰摂取による幻覚・錯乱状態で暴れ回り、自ら壁や地面に激突した際に生じたものと医学的に結論づけられました。