感染性胃腸炎の看護において、糖分濃度と同じくらい深刻な二次被害を生んでいるのが水分補給を与えるタイミングの誤りです。育児コミュニティやSNS上では、親が良かれと思って起こしてしまうトラブルが後を絶ちません。
「子供が激しく吐いた直後、脱水が怖くてすぐにポカリをゴクゴク飲ませたら、5分後に全量噴水のように吐き戻した」「胃が空っぽなのに飲み物を欲しがるから与えたら、余計に嘔吐が止まらなくなった」という証言は、救急外来でも日常茶飯事です。嘔吐直後の胃粘膜は激しい痙攣と炎症で極度の過敏状態にあります。このタイミングでコップ1杯の水分を一気に胃に流し込むと、胃壁が急激に伸展され、迷走神経を刺激して強力な嘔吐反射が再発します。
小児救急および消化器病棟のプロフェッショナルが共通して指導する鉄則は、「嘔吐後は最低30分から1時間、完全に胃を休める(絶飲食)」ことです。
胃の痙攣が治まるのを待った後、スプーン1杯(約5ml)の経口補水液を口に含ませます。そこで再び吐き気が起きないかを10分〜15分観察し、問題がなければもう1杯というように、点滴の滴下スピードを模した超微量補給を地道に繰り返すことが、脱水と嘔吐の悪循環を断ち切る唯一の近道です。