猛烈なスピードで全国に展開した居酒屋チェーンの舞台裏には、異様なまでの熱量と圧迫感が同居していた。創業者が掲げた「できないと言わない」哲学は、現場の店長やアルバイトスタッフの精神を極限まで追い詰める結果となった。
顧客満足度を第一に掲げる一方で、現場で働く人間の限界は考慮されない。深夜勤務の後に早朝研修が組み込まれ、終電を逃すことは日常茶飯事だった。限界を迎えた従業員が悲鳴を上げても、「努力が足りない」「想いが薄い」と一蹴される構造が出来上がっていたのだ。外食産業全体の成長期とはいえ、その裏に隠された代償はあまりにも大きかった。