物語の大きな転換点は、講談社が主催するオーディション「ミスiD2019」だった。従来の画一的なアイドル像を打ち破る「多様な生き方や美しさ」を評価するこの舞台で、彼女は審査員やファンに強烈な印象を刻みつける。完璧に造り込まれたルックスの裏側に垣間見える孤独や脆さが、審査員の眼孔を突いたのだ。
受賞を機に、彼女を取り巻く環境は激変した。自らのビジュアルをストイックなまでに磨き上げ、コンプレックスさえもコンテンツへと昇華させていくスタイル。それは、同世代の若者たちが抱える「承認欲求」や「生きづらさ」の代弁者として機能し始めていた。