佐々木力という男は、日本のファッション・アパレル業界における伝説的なヒットメーカーだった。彼が世に送り出した最大の功績といえば、1990年代末にニューヨークで誕生したコンテンポラリーブランド「Theory(セオリー)」の日本展開である。株式会社リンク・セオリー・ジャパンを率い、上質で洗練されたストレッチ素材のパンツを軸に、働く女性たちのワードローブを根底から変革させた。
その卓越したビジネスセンスと先見の明は、ファーストリテイリングの柳井正氏をも動かす。後に株式会社ファーストリテイリングのグループ傘下に入り、グローバル展開を加速させた手腕は今も語り草だ。敏腕経営者として昼夜を問わず世界中を飛び回りながらも、私生活では萬田久子という唯一無二のパートナーを深く愛し、互いの才能を誰よりも認め合っていた。