なぜ作家たちは、物語のラストスパートで急ピッチの恋愛展開を描くのだろうか。物語構造の観点から分析すると、これには明快な創作上の必然性が存在する。連載中盤までは主軸となる戦いや事件の解決にページを割かねばならず、個々の恋愛模様を詳細に育てる猶予がないケースが多いからだ。
「世界を救う」といった大義名分が果たされた瞬間、抑圧されていたキャラクター個人の幸福や未来への選択が一気に表出する。完結直前の数話は、いわば長年溜め込まれた感情のマグマが噴出するタイミングなのだ。ストーリーの緊張感が切れた直後の解放感も手伝い、急速なロマンスの結実が爆発的なカタルシスを生み出す構造になっている。