本作の核心である「心中」というテーマ。これは単なる心中(心中立て)の心中ではなく、落語と心中する、あるいは芸のために身を滅ぼすという狂気を孕んでいる。みよ吉を取り巻く三角関係や、彼女の抱く絶望は、もっと泥臭く、救いようのないものであるはずだった。
しかし、地上波のフィルターを通したことで、毒気が大幅に抜かれてしまった印象は否めない。マイルドに美化された悲劇は、原作が持っていた「人間の汚さやエゴ」を去勢されたように見え、結果として薄味なメロドラマに変貌してしまった。このマイルド化こそが、原作の持つダークな美学を愛する人々を失望させた主因だ。