唐澤貴洋の炎上理由と騒動の経緯を正しく理解するには、2012年当時のインターネット環境と法制度の特殊性を振り返る必要があります。発端となったのは、巨大匿名掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」の実況板(なんでも実況J、通称・なんJ)で起きた、当時高校生だった一般男性への特定・誹謗中傷騒動でした。
男性から相談を受けた唐澤弁護士は、掲示板上の誹謗中傷書き込みの削除とIPアドレスの開示請求に着手しました。しかし、当時の掲示板住民は弁護士の介入自体に激しく反発。「正義の執行」を掲げる匿名ユーザーたちの標的は、元の依頼者から唐澤弁護士本人へと急速にシフトしていきました。
攻撃は単なる書き込みの域を瞬く間に逸脱し、以下のような異常事態へと発展しました。
- 個人情報の不正取得と拡散:実家の住所、親族の経歴、顔写真の改変画像の大量投稿
- 偽計業務妨害・脅迫の連鎖:唐澤弁護士や法律事務所の名義を騙った全国の自治体・教育機関への爆破予告・殺害予告
- 物理的な実害:法律事務所の看板盗難、墓所への落書きや不法侵入、ピザや着払い荷物の大量送り付け
この集団的な嫌がらせは、後に「恒心教」と呼ばれる匿名カルト的ネットミームへと変質し、攻撃自体が自己目的化した若者たちによって10年以上にわたり再生産され続けるという、日本のインターネット史上最悪のネットリンチ事件へと膨れ上がりました。